2006/2/3 TV番組より

NHKテレビの衛星放送で「フォーラム「若者への自立支援」」という番組があった。
途中から見ることになったので 或いは誤解があるかもしれないが いろいろ感じたことがある。
一言で言えば ふざけるな! である。
出席していた若者は全員が20歳台のようで、後半の人も多数いた。
そして、「30までは好きなことをして良いと親に言われている」などと話している。
また、「仕事をしたいが採用してもらえないのでフリーターをしている」という人も多かった。
「何が向いているか判らない」、「サラリーマンにはなりたくない」という意見に頷く人も多かった。
「3年ほど勤めて、そこで有る程度のスキルを養い、そこからあらためて仕事を探す」などとも言っている。
大学で支援NPOをやっているという人もパネラーの形で参加していた。「学生は企業と
コミュニケーションを取るチャンスが少ないのでお互いを紹介する」というのが主旨らしい。
利用した女学生が「気楽に相談できて有り難い」と話すビデオも紹介された。
雇用側では「フリーターやアルバイトを積極的に雇い、
お互いが納得したら正社員の契約をする」という女性のパネラー(職種は聞き漏らした)もいた。
また、かなり有名な中小企業の社長さんが出席していたが、残念ながら発言のチャンスが少なかった。
実は 人を雇うということは 雇用する側から言えばかなりのエネルギーが要ると私は思っている。
何よりも その社員には一人前になってもらわなければならない。仕事の上でも、社会人としても、である。
有る程度の仕事をしてもらうには3年ほどの期間が必要だし、いわば親代わりも務めなければならない。
社員が恋をすれば成功を祈り、事故や病気などのトラブルに巻き込まれないように気をつかう上司の気苦労は大変なものだ。
このようなことは大きい会社では淡白だが会社が小さいほど濃いエネルギーが必要になる。
「何が出来るか判らない」のに自分の能力には疑問を持たず、「今はフリーター」で、
誰かが相談に乗ってくれるなら「気楽に」相談し、「3年ほどスキルを養い転職し」、
「でも背広にネクタイは嫌いな」人。
私どもの業種ではそんな大人を支援するなどということは出来ない。
そもそもこの出席者たちは、何をやろうと大学に行ったのだろう? 卒論に何を選んだのだろう?
将来に漠然とした不安があるといいながらその不安の元を考えてみたのだろうか、
何が足りないと思い、何を支援して欲しいのだろう? 自分に何が出来ると思っているのか?
誰かが自分の仕事を決めてくれるのを待っているのか? 自立とはどういうことと考えているのか?
選挙権を得、酒を飲み、車を持ち、携帯を掛け、いよいよの時は帰る実家をもつ、
そんな若者になんの支援が必要なのか? 判らないことばかりであった。
きっと 現在職業に就き働いている人達も、最初は好きだと思って始めたけれど、
やってみたら向いていなかったと思っている人、
その逆に 不満ながらもやってみたら存外自分に向いていたという人も沢山いるに違いない。
真剣に仕事をしているうちに面白さがわかり、身体も慣れてくる。どんな仕事も奥があり、
それを知ってやる気が沸いてくる、生活の為の職業はそんなものだと思う。
もっと地道に、真面目に考える若者になって欲しい。そうすれば自立など、今の日本なら簡単なことだ。

2006年02月03日